水軍学「船陣形」
陰陽の備
この陣形は船隊を二分し、一は専ら敵を進撃するを主とし、一は時機を視て後これに乗せんとするものにして諸陣の基礎たるべきものなり
天地人の備
この陣形は船隊を分かちて三段とし、互に相応じて敵にあたるべきものなり
四武の備
この陣形は兵船を四隊に分かち、前後左右に備うるものにして、敵来襲の方面不明なる時に用いるもの、即ち方陣なり
五軍の備
この陣形は四武の備の中央に尚一隊を置きたるものにして、その目的前者に同じ
六花の備
この陣形は五軍の備に尚一隊を加えたるものなり
七曜の備
この陣形は兵船を七分し、先ず二隊を並べ、少しく離して更に三隊を並べ、また少しく離して残りの二隊を並べるものにして、即ちニ、三、ニの三箇横陣より成る備えなり
魚鱗の備
この陣形は三角にして剣先形なり、これ我軍の各船を密着せしめて進航せんとする場合、或いは敵に比して寡勢なる時に用いるものにして、海面広からざる所若しくは河川中に利あるものなり
鶴翼の備
この陣形はあたかも鳥の両翼を張りたる如く兵船を横に配置し、敵を包囲して攻撃するの備えなり、而して海面広き所に用いて利あるものなり
長蛇の備
この陣形は兵船を縦に置き、舳艫相銜み、首尾相応じて敵にあたらんとする備えなり
偃月の備
この陣形は敵に封し三日月形に備えるものにして、また箕手備ともいう。而してその目的は鶴翼の備に等しく敵を包囲せんとするにあり
鋒矢の備
この陣形は鋭き凸横陣敷個を縦に置きたるものにして、これを甲矢、乙矢、丙矢などと称し、甲矢先ず敵にあたりて敗れれば乙矢これに代り、乙矢復敗るれば丙矢これに次ぎ、以て勝を制せんとするものなり。また敵鋒矢ならば我は偃月に備えるを利ありとす
方面の備
これ無形の備えなり。小船大船入雑りて予めその形を示さず、機に臨じて一転望む所の陣形を作りて敵にあたるものなり
円形の備
この陣形は兵船を円に配置するものにして實敷よりも小勢に見ゆるものなり。かくの如くして敵を引寄せ、然る後適当の陣形を立つべきなり。また敵円形ならば我は衝軛に備うるを利ありとす
衝軛の備
この陣形は二列縦陣の如く備えるものにして、左右両列互に相助け敵にあたるものにして、敵隊円形なる時或いは繰引せんとする時に用いるものなり。また敵衝軛ならば我は鶴翼に備うるを利ありとす
雁行の備
この陣形は左或は右を先鋒とし、後続船を斜めに備えるものにして、繰掛或は繰引に用ゆ。
また敵雁行ならば我は円形に備えるを利ありとす
両翼の備
この陣形は凹横陣にして、略偃月及び鶴翼の備えに等しく敵を包囲せんとするものにして、左右強弱なきを要す
一向ニ裏の備
この陣形は兵船を三隊に分ち、一隊は正面より敵にあたり、他のニ隊は左右に別れ、迂回して敵陣の背後に出で、三面より敵を攻撃するものなり









